「摂理のユートピアだより」 の名前の由来

wm_1885

「ユートピア」という言葉があります。

もともとギリシア語の ou (否定詞) と topos (場所) に由来し、どこにも存在しない場所、理想的社会、空想的社会といった意味を指します。

16世紀、トマス・モアという思想・哲学者が初めて『ユートピア』 (1516) という言葉で「理想的社会」を主張し、先人たちは、政治、文化、芸術、科学など、あらゆる方面において理想世界の追求に努めてきました。

Solが大学時代、研究論文で取り上げたテーマも、このユートピア。
ユートピア文学に欠かせない、ウィリアム・モリス(写真 1834-1896)という人物をとりあげました。

19世紀、産業革命が起こり、機械が人間にとって代わり、これまでの労働が大きく変化し社会が混乱する中で、人間性が失われてゆくことへの危惧から、「アーツ・アンド・クラフツ運動(手仕事の復権)」や「建築保全」、また独自の「社会主義思想」を唱えた人物です。

当時は「社会主義」という言葉を発しただけでも殺されるような時代。
モリスは、起業家、デザイナーなど、個人レベルの運動から、政治活動まで幅広く「理想世界」を訴え、ユートピアという「地上天国」を追い求めました。

その世界を描いた文学作品が、名著『ユートピアだより』です。

20141231144529c68

もしもほかの人たちが、わたしが見てきたとおりのことを見ることができるならば、そのときは、それは単なる夢ではなく、ヴィジョンと呼ぶことができるだろう。

これは、物語の主人公が、憎しみや争いのない「完全」な世界=理想郷へと旅立ち、目が覚めて夢だったことに気づいたときの最後のシーンです。
あまりにも平和な世界は夢だったものの、主人公はこの出来事から、荒廃した社会に立ち向かう力を得て前へと進みます。

Solがモリスに惹かれたのは、このようにユートピアを、夢や理想で終わらせることなく、実現可能なビジョンとして、人々に提示し、力を与えたこと。

モリスの詩やデザインが今も尚、普遍的な魅力を放つのは、まさにここに秘密があるのではないかと思います。

Solもこんな人に出会ってみたい。
どのようにしたら、出会うことができるんだろう?

あらゆる肉的な「活動」に限界を感じ、時代を貫く思想を求め、そんなことを考えながら、卒業論文に取り組んでいたのを思い出します。

けれども、モリスの時代は19世紀。
では今現在、ユートピアが、いつ、どこで、誰が、どのように中心となって成してゆくのか?
Solが大学の卒業論文と引き替えにもらったものは、「答え」ではなく、新たな「問い」だけでした。
海外の大学院に行けば見つかるかもしれないと、悶々とした社会人生活。
けれどもようやく、その「答え」に出会うことができました。

ユートピアはもはや「実現可能なビジョン」ではなく、「実際に成されている場」であるという確信。
自分自身が、歴史の渦の中にいるという実感。

微力ながらも先人たちの思想のバトンを受け継ぎ、伝えてゆけたらと思い、冒頭のタイトルにした次第です。

このブログを通して、ユートピア=地上天国を感じてもらえますように。
そして新たなヴィジョンを見出すひとつのきっかけになれば、嬉しく思います。

Sol

写真:William Morris & Co

ABOUTこの記事をかいた人

貿易の仕事をしながら摂理の教会に通っています。スイマー・おしゃれ信仰生活推進委員。今ハマってるものはインテリア。インターネットが好きです。